とある銀行員がデータサイエンティストを目指すブログ

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”データドリブン(Data Driven)な考え方”を考える

この記事では、データサイエンティストのスキルチェックリストにおいて、ビジネス力スキルとして挙げられている”データドリブンな考え方”とは、どのようなものかを考えてみます。

最近よく聞く「データドリブンって何だよ!」と疑問に思っておられる方の理解の支えになればと思います。

(注意)本記事に記載している内容は、あくまで筆者個人の見解であることをご留意ください。

 

 

1.データドリブンとは

もともと「データドリブン」とはデータ駆動とも呼ばれ、計算機科学における計算方法のひとつを表す言葉なんだそうです。そこでは、ひとつの計算によって生成されるデータが次の計算を起動し、次々に計算が実行されることをデータドリブンと定義されています。データドリブンでは、何らかのデータに基づいて次の行動が起こります。

これから転じて、ビジネスにおける意思決定をデータに基づいて行うことを一般的にはデータドリブンと表現されています。

 

データドリブンの定義が分かったところで、「これまでもデータに基づいた意思決定してきたよ!」という人も多いでしょう。

少なくとも筆者が見てきたビジネスでの現場においては、データに基づかない思いつきの意思決定がなされることはまれだと思います。

 

2.データドリブンの対義語、デマンドドリブン

少し見方を変えて、データドリブンでない考え方とはどのようなものなのかについて考えてみます。
計算機科学におけるデータドリブンの対義語として、「デマンドドリブン」という計算方法があるそうです。デマンドドリブンでは、計算は何かしらの要求に基づいて実行されます。要求された計算に必要な他の計算が要求されて実行され、その結果に基づいて、元の計算が実行されます。

これを1.同様にビジネス用語に再定義すると、必要なデータを集めて意思決定を行うことを、デマンドドリブンと言えるのではないでしょうか。

 

3.データドリブンとデマンドドリブンの比較

データドリブンとデマンドドリブンを比較することで、目的である”データドリブンな考え方”がより理解しやすくなります。

データドリブンな意思決定とデマンドドリブンな意思決定をフローで示すと、以下のようになります。

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データドリブンな意思決定とデマンドドリブンな意思決定のイメージ図

データドリブンな意思決定では、データありきです。デマンドドリブンな意思決定では、意思決定ありきです。
何かを決めるためにデータで論理を作るのではなく、データに基づいた論理から何かを決めることが、データドリブンとデマンドドリブンの大きな差と言えます。

 

4.データドリブンな考え方とは

ここで、データドリブンな考え方を、言語化してみましょう。

私の考えるデータドリブンな考え方とは、何らかの要求を介入させず、データをきっかけに意思決定する考え方です。

これは、データだけを見て意思決定をするということを意味しません。
必要に応じ、いわゆる「えいやぁ」と言われる気合いと勘に頼って意思決定せざるを得ないケースだってあるはずです。
しかしながら、その意思決定の発端はデータにあることがデータドリブンだと考えます。

例えば、売上が下がっている、例えば取引先の倒産件数が増えてきている・・・そうしたデータに基づき、必要に応じ追加のデータを要求したり、関係者にヒヤリングしたりしながら、何らかの意思決定を下すことがデータドリブンな考え方だと考えます。

例えば、月末なので来月のシフト調整をする必要があり、シフトメンバーの希望とスキルや経験年数がまとめられた人事データに基づいて来月のシフトを決定する意思決定は、いくらデータを利用しているからといって、データドリブンとは言えないと考えます。

データドリブンは、意思決定のきっかけがデータであることが大切です。

 

5.デマンドドリブンも必要

本記事は、データドリブンな考え方を示すことを考えており、デマンドドリブンな考え方を否定している訳ではありません。

むしろ、デマンドドリブンな考え方もとても大切ですし、実際にはこうした意思決定の機会の方が多いと思います。

しかし、何らかの要求に基づいた意思決定は、いわばルーティンジャッジであり、ビジネスの幅を広げるものとならないことが一般的だと感じています。

 

6.データドリブンの注意点

これまで説明してきたデータドリブンな考え方は、決して全てのビジネス課題を解決する魔法の考え方ではなく、2つの注意点があります。

(1)正しいデータを見ること

当たり前ですが、データの内容が間違っていては、意思決定の根幹がゆらぐことになります。データの内容だけでなく、データ収集方法や定義、加工方法等を必要に応じ確認しておくことが重要です。

(2)正しくデータを見ること

データが正しくても、内容を正しく把握できるとは限りません。人間はどうしてもバイアスが強いものです。既にある知識や経験に引っ張られた意思決定をしがちです。

目の前にあるデータから読み取れる事実と、自信の考えをきっちりと区別して、正しくデータの内容を把握することが重要です。

 

データの正しさと理解の正しさを、きちんと意識しておくことが大切です。

 

 

 

以上、データドリブンな考え方についてまとめてみました。 

あくまで私の理解に基づく”データドリブン”ですが、皆様の考える”データドリブン”と照らしてお考え等がありましたら、お気軽にコメント等でご意見いただければと思います。

 

では!